ひょうごがん患者連絡会ニューズレターNo.57にてゆずりはが紹介されました。転載いたします。2018年1月

がん患者グループ ゆずりは の活動について

ゆずりは世話人 小谷哲也

 

がん患者グループゆずりは代表・宮本直治です。今回は、がん患者グループ<ゆずりは>の活動を紹介させていただきます。

 がんという病に向き合う時、未知なる治療、死への恐怖や将来の不安などを前にして心が揺らぎます。自己体験や人との話から・・・『揺らぎの一因にはガンになった後の<自分の生き方>が分からなくなることもある』と、私は考えました。でも生き方は医療が扱う分野ではない。そこで私どもの会は「がんになった後の生き方を考える場」を目指し、定例会の第一部講演会において「生き方に触れる講演会」を増やしました。例えば講演者が緩和ケア医であれば「自分に影響を与えた患者さん」を紹介して頂きます。病に振り回されずに生き抜いた人の物語から患者自身が自分の将来構想を描き、そこに行きつくためのヒント・・・それを講演会に盛り込むようにしています。

定例会の第二部・交流会では全員が車座になって話をしますが属性分けは行いません。一般的に患者だけ、家族だけで行う場は深い話が出来ます。一方でグループ分けしない空間では表面的な会話で内容も浅くなりがち。ですが上手く進行すると参加者の視野を広げる事が出来ると考えるようになりました。先日の交流会では「貴方から見た医療は?」がテーマとなりました。このテーマに対する言葉は健康な医療者、患者、遺族などの立場で異なり、また患者同士でも違うものでした。「へぇ~、そんな見方もあるのだ」という思いも時に湧き上がり、とても面白い時間でした。患者、家族、遺族、医療者等の様々な立場を超えて自分の考えに凝り固まらない智恵を学ぶ場、それが交流会の目指す方向です。

私達が大切にしているのは絶対的な安心感です。「ここでなら」と思った時、人は奥にある思いを言葉にします。たとえ話題が<死>であっても、私が僧籍を持っているがために「ゆずりは」では安心してタブー領域を語れるのかもしれません。持っている宗教や意見を押し付けない、でも拒みもしない・・・ある程度のルールの中で互いを尊重しているからこそ流れる「自由に語れる雰囲気」。その空気感の中にある、体験された方でなければ語れない言葉との意味ある出逢い。それは仕合わせとも呼べる人生の尊い瞬間であることが、参加者の表情から伝わってきます。

私もそうですが、病気になったことは残念です。しかし、その事実は変えることは出来ません。考えてみれば病の有無に関わらず、どなたにとっても一度だけの人生であり、寿命が来た時に次の場面が展開される事は間違いありません。暗いトンネルの中でも他人(ひと)様の何気ない一言から大きな力を頂くことがあります。ただ自分から足を運ばなければ巡り合いの確立を上げることはできません。皆様も患者会やサロンなどで人と話しをする機会を作り、治療は治療として進める一方で、出会いによって運ばれる色々な景色を感じ、<今、ここにあるご自身の人生>を深く味わっていただきたく存じます。

~2017年の活動について~

 

【1月】 14日 (土) 定例会17名:『病院から帰りたい方のために』あずま在宅医療クリニック東英子氏

20日(金)がんサロンあしゆ亭(参加5名)、25日(水)会報1月号及び外部広報用チラシ発送

28日(土)神戸市がん患者会交流会 28日(土)~29日日本がん患者会フォーラム参加(東京)

【2月】 11日(土)定例会16名:『私達は薬をどう使うのか?』 ゴダイ株式会社 薬剤師 尹享月氏

17日(金がんサロンあしゆ亭(参加5名)、22日(水)会報2月号及び外部広報用チラシ発送

【3月】 11日(土)定例会16名:語り合いの会 コーディネーター:ゆずりは代表 宮本直治

17日(金)がんサロンあしゆ亭(参加9名)、29日(水)会報3月号及び外部広報用チラシ発送

【4月】  8日(土定例会52名:『抗がん剤のやめどき』 長尾クリニック院長 長尾和宏氏

     21日(金)がんサロンあしゆ亭(参加11名)、26日(水)会報4月号及び外部広報用チラシ発送

【5月】 13日(土)総会と定例会23名:『瞑想で自己内観を』 ラリータ・パテラ氏

     19日(金)がんサロンあしゆ亭(参加8名)、24日(水)会報5月号及び外部広報用チラシ発送

【6月】 10日(土)定例会23名:『がんが病気じゃなくなったとき』 いのちの講演家 岩崎順子氏

     16日(金)がんサロンあしゆ亭(参加7名)、21日(水)会報6月号及び外部広報用チラシ発送

     24日(土)第22回日本緩和医療学会学術大会(横浜)口頭発表 がん体験者が担う「緩和ケア」

           第22回日本緩和医療学会学術大会(横浜)PALポスター 生き方を考える患者会

【7月】  8日(土)定例会38名:『私にとっての緩和ケア病棟 ~医療者として生きる人生の中で~』 

    市立芦屋病院 緩和ケア内科医長、中嶋真一郎氏、緩和ケア病棟看護師 宮武佳菜枝氏

      21日(土)がんサロンあしゆ亭(参加10名)、26日(水)会報7月号及び外部広報用チラシ発送

【8月】  6日(日)ランチ会(フレンチレストランにて16名参加)

      18日(土)がんサロンあしゆ亭(参加10名)、23日(水)会報8月号及び外部広報用チラシ発送

【9月】  9日(土)定例会27名『この町で最期まで生きるために』在宅ケア移行支援研究所宇都宮宏子氏

      15日(金)がんサロンあしゆ亭(参加8名)、20日 (水) 会報9月号及び外部広報用チラシ発送

【10月】14日(土)定例会24名:『エンドオブ・ライフケア』大阪北ホームケアクリニック白山氏他

     20日(金)がんサロンあしゆ亭(参加9名)、 25日(水)会報10月号及び外部広報用チラシ発送

29日(日)神戸市主催 がん患者会交流会

【11月】 1日 (水) 姫路赤十字病院市民講座 患者の部講演 宮本代表・藤本副代表

      5日(日)第6回石海公民館(兵庫県太子町) 教養学習講座講演 宮本代表

       10日(金)臨床スピリチュアル協会 第77回研究会 宮本代表講演

       11日(土)定例会26名:『本当に がんに克つ方法とは』 船戸クリニック院長 船戸崇史氏

       17日(金)がんサロンあしゆ亭(参加8名)、22日(水)会報11月号及び外部広報用チラシ発送

      23日(木)兵庫県立神戸生活創造センター発行 神戸生活創造新聞に活動掲載

      26日(日)第13回がん患者大集会(東京医科歯科大学) 患者の部講演 宮本代表

【12月】 3日(日)日本緩和医療学会主催街頭イベント 「もっと知ろうよ!緩和ケア」ポスター展示

      9日(土)定例会19名:『美しく。内面・外面から』大石氏、小谷氏、飯田氏、齊藤氏

      15日(金)がんサロンあしゆ亭(参加8名)、

    17日(日)全がん連がん患者学会2017参加、20日(水)会報12月号及び外部広報用チラシ発送

ゆずりは外部広報用チラシについて

ガンになった時、医療と異なる立場から支える患者会があるという情報提供も大切だと考え、県内拠点病院を中心に毎月500枚郵送しています。これまでも様々な病院を訪ねて広報協力をお願いしてきましたが、昨年は大阪国際ガンセンター、西宮市立病院、神戸協同病院、立花病院も設置が受けて下さいました。この黄色いチラシは様々な講演会等でも配布し、広報に利用しています。

(主な郵送先)兵庫県立がんセンター、神戸大学医学部付属病院、神戸医療センター、神戸中央市民病院、神鋼記念病院,神戸低侵襲がん医療センター、県立西宮病院、西宮明和病院,西宮市立中央病院、神戸医療センター、近畿中央病院

大阪国際がんセンター,県立尼崎総合医療センタ-、神戸協同病院、ながおクリニック,明石市立市民病院、兵庫医科大病院、関西労災病院、立花病院、市立芦屋病院、宝塚市立病院、六甲病院


ゆずりはチラシ.png

<ゆずりは>に思うこと

ゆずりは副代表 藤本和子

私が<ゆずりは>に出会ったのは、平成27年夏、サンケイ新聞に載った宮本代表の記事がきっかけでした。 平成23年5月に肺がんの告知を受けた私はステージⅢAの5年生存率が20%という状況でした。ショックで何をどう考えればいいのかわからない毎日でした。死と向き合わなければいけない不運を恨みながらも残りの時間をせめて自分なりに精一杯生き、何かに挑戦することで病気になった意味を得ようと、今振り返れば試行錯誤の日々であったように思います。4年が過ぎ少し明るい希望が湧き心にも少し余裕が持てるようになった頃でもありました。

 宮本代表の記事は同じく命あるうちの生き方に重きをおき、それを実践されている、そんな内容のものだったと思います。 私はすぐに「この人に会いたい」と思い<ゆずりは>の定例会に足を運んだのが会との出会いでした。今では副代表という大役を努めさせて頂いていますが、まだまだできることと言えばわずかな限られたことで、手探りが続く日々です。

 先日、東京で開催された「がん患者大集会」に患者会ブースを出展するために上京しました。定例会での講演や講師の方々の充実した内容、また交流会では患者だけでなく、家族、遺族をはじめ医療者の参加もあり、<ゆずりは>の患者会が生き方を考えることを柱とする会であることを伝えると同時に自分自身も再確認する良い機会を与えていただきました。また記念イベントや姫路赤十字病院において体験談で思いを伝えるための登壇経験もさせていただき、改めて病気になった意味を考えさせられました。

 人はがんであっても、そうでなくてもいずれ「死」はすべての人に訪れます。患者だけでなく、健康な人も「死」と向き合うことによって「どう生きるか」ということを真剣に考え、学べる会になればと願います。受身ばかりになりがちな立場ですが、患者から発信するメッセージがあってもいいのではないでしょうか。そのことで患者自身が希望や生きがいを見つけられれば何よりのことだと思います。

 たとえ命が、残された時間が限られていてもその時間をその人なりに精一杯生きた、と言えるように、皆がそんな風に思い生きられるように、生き方を学び、話し合えるそんな会であればと願います。

<今、思うこと>

ゆずりは会員 荒木  弘

私と『ゆずりは』との出会いは、平成28年に行われた『ゆずりは20周年記念イベント』で自らの体験を発表する機会を頂いた事に始まります。

私とがんとは、文字通り【がんじがらめ】の関係に有ります。それは私自身が<がん経験者>であり、妻をがんで亡くした遺族であり、そしてがん治療に関わる病院薬剤師という3つの立場があるからです。私は13年前にがんの告知を受けました。産まれて初めて死を意識した瞬間でした。遥か彼方の山の頂から自分の心臓に向けて一本の矢が一直線に放たれた錯覚に陥り、頭の中が真っ暗になり、不安と恐怖で鳥肌が立ち身体が震え、幾度となく涙がこぼれました。幸い手術で病巣は切除できましたが、がんは身体だけでなく心をも蝕む病気だと思い知らされました。妻ががんと診断されたのは今から9年前です。当時42才で3人の子供はいずれも小学生でした。私は一日でも長く生きて欲しいとの思いで東奔西走しましたが、僅か半年で他界しました。振り返ってみると、自分が告知を受けた際、あれほど辛かった不安、恐怖、孤独感を支えていなかった事に気付き、自責の念にかられています。

薬剤師として患者さんと接する時、薬の効果や副作用などの話はしますが、がん経験者であっても、心の部分に踏み込む事は躊躇してしまいます。しかし自暴自棄の患者さんや不安で前に進めない患者さんに出会うと、つい、『私もがんの経験者です』と一言伝えることがあります。不思議な事に、たった<この一言>で患者さんとの距離が一瞬にして縮まります。同じ経験をしたもの同士ですから何の説明もいりません。頑なに口を閉ざしていた方が誰にも言えなかった病気への不安を話されたり、涙される方もおられます。私は「これが患者会の原点ではないか」と感じました。ゆずりは定例会は趣向が凝らされており、まずは集まった方とのお喋りから始まり、がん患者さんと関わる方の講演があり、そしてみんなで輪になって今日一日を振り返ります。たくさんの仲間がいて居心地の良い場所であると同時に、仲間の生き方から<がんとの向き合い方>を考えるきっかけとなります。私自身<ゆずりは>に関わり、多くの事に気付かせて頂きました。がんになっても出来る事は沢山ある事、そして生きるとは『長さ』が大切なのではなく『行動』に意味がある事。そう思えると、未来への不安がいつしか「今日、生きている事への感謝の気持ちに変わって行った」ように思います。ひょっとしたら、がんは 心を蝕んでいるのではなく、〈生きるとは何か〉を問うているのかも知れません。